解説:
M・モンローを神話的スターの域に至らしめたH・ハサウェイのよきB級ムード横溢するサスペンス映画。少なくとも鐘楼上の殺人の場面までは一気に見させられるし、ナイアガラ・ロケも圧巻で、すっかり観光気分を味わせてくれる。会社の慰安に遅い新婚旅行を兼ねて瀑布を訪れた若い夫婦。本来泊まるはずのロッジには、別の夫婦客がいた。夫(J・コットン)は気分が悪くて寝ている、と告げた妻モンローは買物に出かけたはずなのに、滝での愛人との逢引きを新婚夫婦に目撃される。コットンはモンローの密通に薄々勘づいており、その夜衆人の前で感情を爆発させ、翌日行方をくらます。が、それは愛人と妻の仕組んだ殺人。だが、若夫婦の妻(J・ピータース)の前に姿を現わすコットン。彼はピータースに真相を告白する。滝壷に落ちたのは愛人の方だった、と。彼女の制止も聞き入れず、女房に復讐しようと町の観光名所である塔に追い込み、スカーフで絞め殺してしまう。そこからは少々バカげた展開で、映画的なスリルはまるで盛り上がらない。そこにハサウェイの限界があるようにも思える。製作・脚本は“悪女モノ”好きのC・ブラケット。マリリンが愛唱歌の『キス』を口ずさむシーン、最高である。
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