解説:
レストランで偶然にヤクザの殺人に出くわしたニック(ダグラス)とチャーリー(ガルシア)両刑事は、その犯人佐藤(松田)を日本に護送するが、大阪空港で逃げられてしまう。府警の松本(高倉)の監視下、警官としての権限の無いまま捜査を見守る彼らだったが、佐藤はそれを嘲笑うかの如く、自ら刺客となって二人の前に現れるのだった。ロケ地日本の対応の悪さなどプロダクションの混乱でその腕を思う存分に振えなかったのか、意外や「ブレードランナー」の故郷を舞台にしながらスコット色の薄い作品となった。しかし、何を語るより前に、日本人にとっては、松田優作の(映画での)遺作として記憶されてしまった。ハリウッド製のフィルムの中、ビリング(クレジットの順)などあって無いが如く、彼は映画を自分のスタンスに引き寄せ、存在感を見せつけるのである。謗りを恐れず言うなら、これは彼の映画である。その雄姿に無限の可能性を再確認した者は納得するはずだ。だからこそ、その喪失感は大きい。我々は、偉大な一歩、あまりにも大きな才能を喪なってしまったのだと。グレッグ・オールマンのエンディングテーマが熱く哀しい。まるで、彼の死を予感していたかの如く。追悼のための歌の如く。
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